RAVEN'S FLIGHT

投資と書評がメインのblogです。

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

| スポンサー広告 | --:-- | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

[読書記録] 21世紀の資本

経済格差について、歴史的な視点から研究成果をまとめた本書。

21世紀の資本21世紀の資本
(2014/12/09)
トマ・ピケティ

商品詳細を見る

発表以来あちこちで見かける「r(資本収益率) > g(経済成長率)」ですが、この式が提示する問題点はこちら。

"資本収益率が産出と所得の成長率を上回るとき、資本主義は自動的に、恣意的で持続不可能な格差を生み出し、それが民主主義社会の基盤となる能力主義的な価値観を大幅に衰退させることになるのだ。"



これは、r>gであることで(そして特に資産が再投資されて複利で増えることで)、経済力が給料ではなく相続資産によって決まってしまい、本人の能力では覆すことのできない経済格差が生じてしまう恐れがある、ということです。

そうして階層の固定化が進めば、社会の流動性は低下し、実質的に世襲の身分制度のように個人の人生の選択が大きく制限されることになります。
これは見過ごせない問題です。特にフロムの言う「自由からの逃走」を望まない人にとって。

通常、経済格差の問題と言えば、例えばロバート・ライシュの「余震(アフターショック)」(参考記事)などのように、国内における所得(収入)の格差を指すことが多いと思います。
これに対し本書では資産の側に注目していて、この視点が目新しく感じました。
実際、20世紀の先進国では、例外的にg>rであり、さらに世界大戦による資産の損失もあって格差が縮小する時代だったことが本書で示されているので、その為に資産側はあまり注目されてこなかったのだと思われます。

しかし、今後は経済成長と人口増加の鈍化により、所得に対する資本の影響が18,19世紀並の高い水準に戻るというのがピケティの予測です。
実際、リーマンショック以降には、例えば「2052 今後40年のグローバル予測」(参考記事)のように、先進国では経済成長率と人口増加率が鈍化するという予測が目につきます。
そうなるとピケティの危惧もますます現実味を帯びてきます。

■個人における対策
以上を踏まえた上での個人レベルでの対策ですが、これはr>gであるならばr(資産の側)の恩恵を出来る限り受けられるようにすること、に尽きます。
幸いなことに現代は、19世紀までと違い、中間層のごく普通の人でも資本の側へのアクセス手段が豊富にある時代です。
また公的制度としても、公的年金に加えて確定拠出年金やNISAがあり、これらは投資金額に上限のある為に中間層に有利な制度です。

本書ではグローバルな資産への累進課税を解決策として提示していますが、個人の側でも出来ることで自衛していくべきです。経済格差のようなマクロレベルの問題は、自然災害と同じで、ただ現象を知っているだけでは身は守れないからです。

■最後に
経済格差はまさに今、直面している問題で注目度も高いにも関わらず、ファクトベースではなくイデオロギー的な議論になりがちだとこれまで感じてきました。
その点で、実際のデータを基に丁寧に分析を行った本書の価値は大きく、今後本書が引き合いに出されることも多いと予想されます。
それだけに、解説本ではなく原本を読む意義は大きい一冊だと思います。
スポンサーサイト

| 経済、社会 | 22:08 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT















非公開コメント

TRACKBACK URL

http://freelikewind.blog72.fc2.com/tb.php/280-097fd7c8

TRACKBACK

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。