RAVEN'S FLIGHT

投資と書評がメインのblogです。

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

| スポンサー広告 | --:-- | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

[読書記録] 連続講義・デフレと経済政策


連続講義・デフレと経済政策―アベノミクスの経済分析連続講義・デフレと経済政策―アベノミクスの経済分析
(2013/07/11)
池尾 和人

商品詳細を見る

本書ではマクロ経済学の理論とそれを元にした現在の日本経済やアベノミクスについての解説を、質疑応答の形式で行っています。
マクロ経済学の踏み込んだ内容(学部レベルの教科書を超える範囲)をも分かりやすく解説していて、単に時事問題を扱っただけではない良書です。

アベノミクスについての議論は、賛成側は金融緩和ですべての経済問題は解決する、反対側は財政問題とハイパーインフレで日本は破滅する、といった極論の応酬が目立つ印象があります。しかし、本書では冷静、客観的に考察が行われています。


■第1の矢:金融緩和
金融政策の議論において重要ポイントとなるのは、現在の日本はゼロ金利という異常事態にあり、金融政策の結果が学部の教科書レベルのマクロ経済学の想定とは変わってしまうこと。
ゼロ金利制約下では、インターバンク市場金利の低下という媒介項が欠落するために、金融緩和による準備預金の増加が企業や家計向けの貸出増加につながらないためです。

そのために「大胆な金融緩和で期待に働きかける」という言い方がされているのかもしれません。実際に株価を始め、資産価格は上昇しているので心理面である程度は効果があったと言えます。

ただし、本書で指摘されているように、金融緩和にも相応のコストが伴うことは忘れてはならないこと。金融緩和は出口戦略の方が難しいというのは、2013年9月時点のアメリカFEDが市場とのコミュニケーションに苦心していることからも分かります。

■第2の矢:財政出動
財政出動において問題となるのは何と言っても財政の持続可能性。
現状は「中福祉・低負担」で財政赤字になっているのですが、将来的に財政的観点では、「低福祉・中負担(消費税換算で税率約25%)」しかないという考察がされています。
さらにゆるやかなインフレではむしろ財政収支は悪化してしまうとのこと。
これは政治的に非常にハードルが高く、どう舵取りしていくかが課題です。

また、財政ファイナンスか否かの判断については、「金融引締めの必要が生じたときに、保有している国債を中央銀行が自らの判断で売却できるかどうか」が基準になるそうです。
つまり、これも出口戦略の問題になるということです。

■第3の矢:成長戦略
マイナスのGDPギャップの存在(潜在GDPからの下振れ)と、潜在成長率の低下(本来の実力自体の低下)の両方が課題であるとしています。そして結局のところ最後に問題となるのは、労働生産性です。

そこで産業構造の転換(いわゆる構造改革)が必要とされるのですが、「産業調整コスト(労働力の移動)」がかかり、これも政治的にハードルが高い問題です。
できることなら慣れた業界や職場で仕事を続けていたい、という人の方が多いはずなので。
これまでに第3の矢として発表された成長戦略がどう見てもイマイチで踏み込んだ内容になっていないのもこのせいでは、と思います。

以上からアベノミクスの真価が問われるのは、やはり今後の話です。
民主党から自民党への政権交代後、株価は大幅に上昇してきましたが、あくまで株価は先行指標。企業の業績やGDPの成長率がどうなるのか、がポイントです。
今年の5月後半から市場は大幅な変動を繰り返して来ましたが、本書の議論をベースに右往左往せず、今後も冷静に市場を見ていきたいと思います。
スポンサーサイト

| 経済、社会 | 19:51 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT















非公開コメント

TRACKBACK URL

http://freelikewind.blog72.fc2.com/tb.php/259-959d36dc

TRACKBACK

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。