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[読書記録] 明日をどこまで計算できるか?


明日をどこまで計算できるか?――「予測する科学」の歴史と可能性明日をどこまで計算できるか?――「予測する科学」の歴史と可能性
(2010/01/22)
デイヴィッド・オレル

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科学的な予測によって、未来のことをどれだけ正確に予測できるのか?
この誰もが一度は考えたことがありそうなテーマを扱っているのが本書です。
本書では科学的予測が占星術から発展していった歴史と、天候、医療(遺伝子)、経済の3分野における現代の予測技術について解説しています。


科学的な予測の手法を大別すると、
 1.システムをモデル化し、初期値を与えて計算する方法 (詳細な数理モデル)
 2.過去のデータの中に統計的なパターンを探す方法 (時系列解析法)

があり、本書では主に数理モデルの側が取り上げられています。

この数理モデルでは世界を簡単な機械として解釈するのですが、

(1)方程式がない。方程式は計算不可能なシステムには存在しない。
(2)私たちが予測に使っているモデルには、パラメーター化の誤差に対する鋭敏性がある。既存のモデルを少しでも変えると、たいてい値がずいぶん異なる予測が生まれる。

以上の理由から、天候のような複雑系のシステムは正確には予測できないということです。

例えば、モデルを詳細化してパラメーターが増えたとしても、予測が正確になるわけでないのです。そうすると将来も天気予報を100%的中させることは難しく、そして経済予測はあてにならないまま、となりそうですね。

また、モデル化する際にどういったパラメーターを選択するのか、という点で作成者の主観が入ることになる、という指摘にも注意したいところです。
つまり、統計でトリックがあるように、モデルにも恣意的要素が入り込む余地があるわけです。これはチェックを働かせるうえで厄介な問題に思えます。

以上のように、数理モデルの持つ限界が明らかになってきたわけです。
ただし、だからといってモデルが役に立たない、というわけではありませんが。
実際に、多くの現象は線形に近似してモデルで扱うことができ、それで十分に実用的レベルにあるからこそ各種の工学が成立しているわけです。

また、「何ができないのか」が分かることも、数理モデルをどう使うべきかという点において大きな進歩だと言えます。

われわれには確信を持って未来を予測することはできないかもしれないし、そもそもまったく無理かも知れないが、少なくとも知性を働かせ、現状理解を深めてくれる数理モデルやコンピューターグラフィックスによるシミュレーションを用いて、みずからが未来に生き延びる確率を高めることはできる。

数理モデルによる予測の限界については残念ですが、限界を知ったうえでモデルを賢く使うこと、に尽きるのかなと。モデルの過信が惨事を起こすのは金融危機などで明らかなことなので。

そして、もう一つ重要なのは、数理モデルの限界がデカルトやニュートン以来の機械論的な(または決定論的な)自然観に対する強力な反証であることです。
物理におけるニュートン力学を、他の学問がモデルにしている部分が多々あるだけに、これは将来的に多くの分野で影響があるのでは、と思います。
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| 自然科学、技術 | 22:49 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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