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[読書記録] エネルギー論争の盲点


エネルギー論争の盲点―天然ガスと分散化が日本を救う (NHK出版新書 356)エネルギー論争の盲点―天然ガスと分散化が日本を救う (NHK出版新書 356)
(2011/07/07)
石井 彰

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エネルギー問題を取り上げた本書では、サブタイトルにあるように「天然ガスの積極活用と、エネルギー源と地域の分散化、多様化」を主張しています。

通常、エネルギー問題というと原発の賛否、環境問題、エネルギー資源の枯渇といった個々の問題に目が向きがちです。
しかし本書では、そもそも現代社会は産業革命以降のエネルギー消費増大と余剰人口が生み出したものであることを文明史的な観点から示し、そこから各論に入っていきます。
この点が興味深く、またよくある議論の間違いを理解する上で重要な点だと思いました。


■現代文明とエネルギー

現代文明、すなわち高度に組織化・秩序化された大人口維持システムは、高効率、高温のエネルギー源を大量に投入しないと維持不能である

この意味で現代文明は生命や台風といったものと同じ散逸構造であり、「原理的にエネルギー問題と環境問題から逃れられない」という指摘がされています。

現代社会・経済が大量のエネルギー供給を前提としている、これは昨年の計画停電で実感させらただけに納得です。
さらに言えば、エネルギー源を確保できなければ産業革命以前の「マルサスの罠」の時代に戻ってしまうということです。
(関連記事:[読書記録] 10万年の経済史①)

■エネルギー源の選択
「フロー」のエネルギー源である再生可能エネルギーは、エネルギー産出/投入比率、そしてコストや安定性の面で化石燃料に大きく劣り、その為、風力や太陽光などの再生可能エネルギーだけで賄うのは無理だということです。

逆に「ストック」の石油や石炭といった化石燃料は、地球温暖化を初めとする環境負荷が大きく、これも見過ごすわけには行かない問題です。
また、化石燃料の中では比較的環境負荷の小さい天然ガスが、シェールガス革命による供給量増大もあって有望だと本書では見ています。

将来のエネルギー選択は、それぞれ一長一短ある各エネルギー源をいかに上手に組み合わせて、経済性・安定性の維持と環境負荷軽減と放射能汚染リスクの最小化を図るか、それを考えていくしかない。

エネルギーも単体での優劣から離れて、ポートフォリオ管理による全体最適化をすべきということになるわけです。
そうなると議論の焦点はポートフォリオ構成になるのですが、残念ながら原発反対/賛成のような二元論が多く、そこまで踏み込んだ議論は少ない印象があります。

しかし、証券ポートフォリオがどんなに分散してもマーケットリスクをゼロにできないように、エネルギーも何らかのリスクを抱えているわけです。
どんなリスクも有るか無いかではなく、どの程度まで許容できるかをもとに管理すべきということです。

このほかに、コジェネレーションといった技術によりエネルギー供給側の省エネを進めることで、大幅に環境負荷を減らしうるといったことも紹介されています。
省エネと言えば電気使用量(需要側)の削減だと思われがちですが、これも意外な事実でした。

以上より、エネルギー問題についての議論は実は盲点となっていることが多々ある、ということが良く分かりました。
今後も原発再稼動や計画停電などエネルギー問題は議論が続くことが予想されます。そこでベースとなる部分をおさえるのに本書はちょうど良いと思います。
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| 自然科学、技術 | 18:21 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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