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[読書記録] COURRiER Japon (2011年12月号)


COURRiER Japon (クーリエ ジャポン) 2011年 12月号 [雑誌]COURRiER Japon (クーリエ ジャポン) 2011年 12月号 [雑誌]
(2011/10/25)
不明

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今月の特集は"「新しい経済学」へようこそ"
金融危機を初め、関心のど真ん中のテーマ。普段にもまして読み込んでしまいました。

■「経済学をちゃんと理解するために知っておくべき人物は誰ですか」(P48~50)
今月号の特集のなかでも、特に価値があると思ったのがこのシルヴィア・ナサーの経済者と経済学史についての記事です。

人々が迷走するのは、たいてい主流派でない経済学者、あるいは経済学者ですらない人の説の奴隷になるときです

とあるように、まずはまっとうな経済学を学び理解することが必要です。
なぜなら、人間は「自分たちの感情に強く訴える物語に引きつけられてしまう」からです。
これは人間の認知バイアスの一つとして覚えておきたいものです。

例えば金融危機は政府と金融機関の強欲な悪いやつらがグルになって起こしたのだ、といった主張もこの一つ。強く感情に訴えるものだけに、反市場バイアスを生じてしまい、原因を解明し事態を解決する為にはむしろ有害です。

P43のヌリエル・ルービニの記事にあるように、

資本主義経済をうまく機能させていくには、「市場」と「公共財」のあいだの適切なバランスを回復していく必要があります。

これが今後の経済のテーマと言えるからです。「新自由主義はけしからん」といったイデオロギー論争になってしまっては建設的な議論はできません。


また、ナサーの記事に、マルクスは初めに理論を考えそれを裏付ける事実を探すやり方をとっていたとありますが、これはつまり追認バイアスの罠にはまっていたということです。

ハジャン・チュンの記事(P24,25)にある、「経済学は中世の神学のようなイデオロギーだ」、「継続的な成長ありきの自由主義経済を維持するのは不可能」といった極端な主張も同じことです。
この記事の出展は英国共産党紙モーニングスターで、共産主義者が読む記事ということを考えれば、なぜこうも主流の経済学を否定する主張になっているのか納得です。

■格差問題
ハジャンの記事で見るべきなのは、「途上国の発展のための支援を行うべき」、つまりは先進国と新興国との間の経済格差を縮小せよ、という主張です。

「格差問題」というと、国内の所得格差ばかりが話題になっています。
しかし、それ以上に国家間の経済格差は大きく、先進国では低賃金の人たちも世界全体で見れば上位数%に入るわけです。格差問題はこの点を見落としていては片手落ちです。

格差問題について訴える人たち(例えばウォール街デモの参加者)は、はたしてそこまで考えているだろうか、というのが疑問です。

■中間層の没落と財政支出
米国における中間層の没落に焦点を当てた、ロバート・B・ライシュの記事(P46,47)。
国家が先進国へ仲間入りし繁栄する為には、国民の多数が一定の生活水準と教育レベルを持つことが必要な要素です。
国内における所得格差の拡大は、当然この土台を崩すことになるので、その点からも「中間層を復活させる」という主張は妥当だと言えます。

ここで政府による財政支出が解決策として上げられ、ジョセフ・スティグリッツの記事(P42)にも不況を脱出する為に、「低金利で借りた資金でハイリターンの投資をすればいい」とあり、ケインズ派の主張としてこれはまさに正論です。

しかし、雇用創出も含めて経済効果が期待されたオバマ政権による政府支出は、あまり効果を生まなかったのが実情です。
その理由が垣間見れるのが、グリーン政策による「ソリンドラ」破綻の記事(P66,67)。
政府主導のプロジェクトの難しさを物語る内容で、不況対策の投資が「根拠なき熱狂」になっていく様は、住宅ローンの拡大がバブルを生んだときと全く同じ構図です。
IT→住宅→環境とバブルが連鎖したということであり、こちらは「政府の失敗」ですね。

財政支出で雇用をカバーできるのはあくまで一時的なもので、根本的に解決するのであれば、教育を充実させスキルを高めること、つまり人的資本の価値を高めることしかないのです。

■行動経済学
行動経済学の分野を切り開いた立役者であるダニエル・カーネマンの記事(P32,33)。
「経験する自己」と「記憶する自己」では「幸せの感じ方もまったく違う」ということにより幸福に普段の生活を過ごすためのヒントがあると言えます。

ところで幸福度に与える年収増加の影響は、「年収7万5000ドル(約600万円)が一つの境界線になる」とあるのですが、このクラスの年収を得るにはそれ相応の努力が必要ですよね。

■まとめ
現在、金融危機後の経済低迷期にあるために、一部で安直な反新自由主義を主張する意見があるように思えます。
しかし、自由市場経済そのものを否定することは間違いです。(もちろん、金融システムに適切な規制は必要なのですが)
そこで最後に、今月号の表紙に登場したスティグリッツの言葉を引用したいと思います。

貧しい人びとは市場原理主義のもとで苦しんだ。トリクルダウン経済学は機能しなかった。しかし、新しい管理体制がふたたびバランスを狂わせて、市場へ過度に介入したりすると、貧者はふたたび苦しむことになるだろう。そういう戦略は成長をともなわず、成長がなければ、持続的に貧困を解消していくことは不可能である。成功した経済は必ず、市場に大きく頼っていた。その帰結として、世界の安定とアメリカの安全がもたらされたことは明白だ。
(J・スティグリッツ「フリーフォール」より)

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