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[読書記録] 大いなる不安定

大いなる不安定大いなる不安定
(2010/10/01)
ヌリエル・ルービニ、スティーブン・ミーム 他

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今回の金融危機は変わった出来事ではない。かなりの確率で起こる出来事である。予測可能ですらある。金融危機は一般に、何度も何度も同じ筋書きであらわれてくるものだからだ。


本書では、今回の金融危機の原因として、モラルハザードや影の銀行システム、FRBの政策失敗などを分析し、アメリカの金融システムそのものの問題点を指摘しています。
そして金融危機はごくまれに偶然起きるブラックスワンではなく、金融システムの抱える問題によって起こるべくして起きた出来事である、と主張しています。


金融危機への対処としては、過去の経済学者の研究成果をひもとき、ケインズの政府の財政支出による解決策と、オーストリア学派(ハイエクやシュンペーター)の創造的破壊の概念から、どちらからも学べるものがあるとしています。

財政出動や救済策、最後の貸し手としての支援、金融緩和政策が短期的には役立つことを認める一方で、中長期的には繁栄への道に戻るために、清算すべき部分は清算しなければならないのである。

これは問題を捉える時間軸によって答えが変化するということでもあるので、危機の後の出口戦略もまた難しい問題であると言えます。

また、危機対策の為の財政支出はやみくもに行えば良いということでもありません。

欠陥のない財政刺激策という考えは幻想にずぎず、少なくともほとんどの民主主義国では実現できない。


これは以下のような問題点がある為です。
・(財政刺激策は)準備に時間が必要
・利益誘導型の無意味なプロジェクトなどの資源の無駄遣い(非効率性)
・将来のバブルの一因になる可能性
財政支出さえすれば乗数効果で不況は解決するという、穴掘り経済学は論外ということです。

また、FRBのとった政策の解説の中では、QE2(量的緩和第2弾)の終了もあって、特に流動性の罠と量的緩和策についての部分を抑えておきたいと思いました。
「量的緩和策」(FRBが長期国債を直接購入する)は「流動性の罠」(ゼロ金利状態で金融機関の資金が貸し出しに向かわず安全資産に投資される)への対策として有効である一方で、紙幣増刷を意味するために、

アメリカは財政を立て直す動きと貯蓄を増やす動きをとらないかぎり、厳しい破綻に向かうことになる。

とも主張しています。
この国家の財政問題については、アメリカに限らず、日本、EUでも同じですね。

規制のない市場に本来的に安定性や効率性、回復力があるとする破綻した見方を捨て、経済学と金融の世界に危機を適切に位置づけなければならない

その為に、証券化商品や格付け機関に規制を課し、大きすぎて潰せない金融機関を分割するなど、政府には果たすべき役割があるというのが結論になっています。
これは、スポーツで例えるなら、適切なルールを設定し、審判としてルールを適用するのが政府の役割である、ということだと思います。

危機における経済学の理論の変遷をたどりつつ、2000年代後半の金融危機を取り上げた本書ですが、中道的な視点で書かれているので、危機における経済学について学ぶのに良い一冊だと思いました。
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| 経済、社会 | 18:49 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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