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[読書記録] ヨーロピアン・ドリーム

ヨーロピアン・ドリームヨーロピアン・ドリーム
(2006/01)
ジェレミー リフキン

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タイトルになっているヨーロピアン・ドリームとは、ヨーロッパで拡がりつつある
新たな価値観をアメリカン・ドリームと対比した表現です。

COURRiER Japonの2011年1月号で、ちょうど社会福祉を重視した大国として
「フランス人はなぜ幸せなのか」という特集がされていたこともあって、
ヨーロッパの価値観、世界観に興味があり、本書を読んでみました。

アメリカン・ドリームは個人の物質的発展に重きを置きすぎ、もっと広い意味での人間の幸福をおろそかにしてきたので、危険と多様性が増し、相互依存を強める世界では、実際的な価値を失ってしまった。

ヨーロピアン・ドリームでは、個人の自律よりコミュニティの結びつきのほうが重視される。同化よりも文化的多様性に、富の蓄積よりも生活の質に、際限なき物質的成長よりも持続可能な発展に、たゆまぬ労苦よりも人間性の実現に、財産権より普遍的人権と自然の権利に、権力の一方的行使よりもグローバルな協力に重点が置かれる。



このヨーロッパ型の価値観こそがグローバル化の進むこれからの世界に適した
価値観である、というのが著者の主張です。

本書では、アメリカン・ドリームという価値観の大元を、物質主義や功利主義、
市場における私利追求を強調するヨーロッパの啓蒙主義に見ています。
そして啓蒙主義の中心をなす、近代的な民族国家や自律した自由な個人といった概念が
どのようにして生まれたのかを、中世末期にまで歴史を遡って解説しています。

人類史上に残る大転換は、時間と空間の概念の変化が引き金となることが多い。ときに、たったひとつの技術の導入が私たちに決定的な変質をもたらし、世界の認識方法そのものを変えてしまうことさえある。


活版印刷、蒸気機関、時計などの発明や、私有財産制の成熟による資本主義の発展、
民族国家の誕生などといった出来事が社会の在り様を変化させ、近代から現代社会へ
発展していく流れは、本当に面白く読みごたえ十分でした。

そして、変化の只中にある今の世界がどうなるかについての考察が。

国内市場経済がグローバル・ネットワーク経済の挑戦を受け、民族国家がEUのような広域的な政治空間に部分的に組みいれられている。
こうした制度上の変化を強いているのは、コミュニケーション革命だ。


こうした変化によって、「所有」から「所属」へと価値観が変化していき、
「分離、獲得、還元」といった啓蒙主義の思考が「関与、補充、統合、全体論」と
いったシステム論的な思考にとって変わられていくとしています。

私たちは自らの執着心の対象を財産権や領土に根差した義務から普遍的人権や共有の地球における集団的関与に根差した義務へと、積極的に広げてゆかなければならない。


と結んでいます。

この変化は、これまでよりも東洋的な考え方に近いものなので、アジアの国にとっては
追い風に思えます。
もっとも著者によるとアジアは集団思考過ぎで、アメリカは個人主義的過ぎると
いうことで、その中道のヨーロッパがちょうど良いという結論です。

なお、本書は日本では2006年発売で、2011年の現在から見ると、EUは財政危機問題が
騒がれていることもあって、この結論はちょっとEUを持ち上げ過ぎのようにも思えます。
日本人としては、今後はアジアの時代だと主張したいところですが。

そして、今の日本にとって、アメリカ型の経済成長とヨーロッパ型の社会福祉の
どちらに重点を置くのか、という問題は今後の国の在り方を決める重要なテーマです。
今の日本は、経済成長率は低迷し、社会のセーフティネットも機能していないという
どちらもうまくいっていない状況にある為に、二者択一を迫られていると言える為です。

そんな状況で、今後の社会の在り方を考える為に、本書は読んでおきたい一冊だと
思います。
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| 経済、社会 | 16:16 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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